Breath

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「それは…。…ごめん。俺、こんなのだけど、一回も告白されたことないわけじゃなくて…。俺が振った女に無闇に嫉妬されたくもないだろ?」 俺は冷やかされるのが嫌だと言うのはやめて、そんな言葉にしてみた。 「中学の頃、男友達ばっかりだったから、嫉妬されまくっていたよ?」 奈緒美が言っていたような気がする。 それは言い訳だと千香に言われたような気がする。 確かに言い訳だ。 話そうとはして実行できていないだけの言い訳。 …情けない。 落ち込む。 こんなんじゃ千香にフラれるのが秒読みだ。 「ねぇ?どうして告白されてつきあわなかったの?原田さん、かわいいほうだと思うよ?」 秒読みの秒を刻むように千香は言ってくる。 前にも同じことに答えている。 奈緒美とつきあえと言っているみたいだ。 「…顔関係ない」 「じゃあ、どうして私に彼女になってなんて言ったの?私、隆太と友達でもなかったよね?」 「……ごめん。また嘘ついたかも。…千香、かわいいし、もっと一緒にいたかった。俺の千香になって欲しかった」 初めて千香を見てかわいいと思ったのは顔。 友達でもなかった千香に声をかけたのは、顔が関係ないとも言い切れない。 千香はどうしてこうも俺を凹ませるのが得意なんだろう。 拗ねてる千香のほうがかわいかった。 …なんて思うのは俺の都合。 「私、かわいくない。隆太みたいにモテないよ?」 俺がモテていると思うのはないない。 俺の身長、たぶん170止まりだし。 顔もコウほど男前でもない。 千香はモテている。 学校では山瀬がガードしているのもあるし、俺とつきあってる噂も流してあるから誰も声をかけたりしないだろうけど。 「俺にはじゅうぶんにモテているように思う。…他人の評価なんてどうでもいい。俺がかわいいって思えればそれで…」 俺は視線をあげて千香を見る。 千香は俺を見ていて、顔も甘えんぼな中身もかわいいけど、他に何か誉めてやれないかなとその全身をよく見てみる。 俺の目は際どい千香の足にとまる。 なんでこいつはこんなに無防備なんだ? ジャングルジムなんて下からスカートの中覗きたい放題になる。 「なぁ、千香。パンツ見えそうだから降りてくる気ないか?」 俺が言ってやると、千香は慌てたようにスカートを押さえる。 …本当はもう見えてるけど。 それは言わない。
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