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階段の下のほうにいくとさすがに影になって薄暗い。
ただ更に奥には向かえないようにシャッターがおりている。
ほんの小さな遮断された空間。
小さな探検はあっという間に終わった。
さて戻ろうと思ったら、
「何かある?」
まったく見えない外側から千香の声が聞こえてきた。
俺はそこにあるものをもう一度見てみる。
何もない、ただの階段。
「シャッター閉まってるだけ。あとは別に鼠もゴキブリもいない。枯葉がちょっとあるくらい」
「なんだ。つまんないの」
「千香も来てみる?」
「行きたいっ」
つまんないのにきたいのかよ。
相変わらず元気いい子。
大人で子供でかわいい子。
「鞄、投げ込んで」
言ってみると千香は本当に鞄を投げてきて、俺は俺の鞄と千香の鞄を受け取る。
少し待ってみると千香はバリケードをよじ登って顔を出した。
外から見ると、またパンチラしているだろうなと思う。
無防備だ。
なんて思っていたら、千香は当たり前のようにバリケードを越えて、今度は降りるためにこっちに背中を向ける。
パンツ見えてる。
もうそのサービスはしなくていいから、少しは隠せと言いたい。
今は俺しか見ていないからいいけど。
俺は腕を伸ばして千香の体を抱いて、千香を中に降ろしてやる。
千香を離してやると、暗くなっている階段の下のほうへおりていって探検する。
俺も好奇心旺盛だけど、千香も好奇心旺盛。
大人なこと考えるのに、いろんなところが子供。
そんな千香がやっぱりかわいい。
「満足?」
階段の途中に座って一服しながら、千香の背中に聞いてみる。
「微妙に不満。もっと奥のほうまでいってみたかったかも」
千香は俺の隣に戻ってきて座り、俺は火をつけた煙草を千香の唇に近づける。
千香は俺に煙草を持たせたまま一口吸って煙を吐く。
かわいい。
何気にちょっといちゃついているかもしれない。
「俺のほうが暗いところ見えないのに」
そんなところにいったら、また千香に手を貸してもらって歩くことになる。
俺が手をひいてやりたいのに。
キスもタイミング悪かったみたいでうまくリードできなかった。
俺は千香が口をつけた煙草を吸って間接キス。
キスしたいのに、甘いキスがわからない。
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