Breath

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「……法学部受かったら?」 こんなときに、そんな言ってみただけの言葉で俺を止めてきやがる。 受験まであと何ヶ月あると思ってる? まだ春。 夏休みもまだきてない。 「…絶対、それまで我慢できないってっ」 本気で言うと、千香は笑う。 笑われて恥ずかしくもなるけど、本気、そんなの無理。 襲う。 俺が襲う。 もう屋外でもいいって襲うかも。 だってこんなかわいい顔で笑う彼女に手を出さないでいられるわけがない。 千香はもう完全に熱も冷めたように、身だしなみを整える。 俺は家にいる親を恨みそうになる。 いなかったらできた。絶対。 親が家にいるなんて言わなければよかった。 連れ込んで流してしまえばこっちのもの。 部屋の鍵をかけてしまえば、こことそう変わらない。 こんなところでも身を任せて裸にされそうになってくれたんだから、絶対いける。 逃したことに悔しくなっていると、千香は俺の背中に両手を回して抱きついてきて。 俺の唇に長い睫毛を伏せてキスをくれた。 俺はその唇にまたドキドキしながら目を閉じる。 …その言葉で俺を止めるなら。 全力で法学部合格がんばってみようか。 受かれば約束守らせて、千香をいただいてやる。 何回逃すことになっても、それが絶対ならいくらでも受験に全力かける。 馬鹿みたいだけど、どうしても千香が欲しい。 千香だから欲しい。 俺の中は千香のことばかり。 妄想の中の千香は言う。 「キスしたらなんか変わっちゃった?隆太のえっち」 俺は元からエロい。 かっこつけたくてむっつりだったの知ってるだろ。 おまえの前でかっこつけても崩されるし、ありのままでいたほうが楽なのかもしれない。 狙いまくりになっても嫌わないで。 俺が狙うのは千香だけ。 他の女に誘われてものったこともない。 セックスは逃しても、千香にふれまくった俺の唇は喜んでる。 俺のファーストキス。 セカンドキスは暴走したけど、それも忘れられそうにない。 毎日キスしたい甘い気持ち。 千香にキスできないときはいちごの飴でも食べよう。
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