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俺についてこいと千香になれないから、こういうことになるんだろう。 千香だけは泣かせないみたいな、千香のためならなんでもしてやるみたいな。 …危ない。 でも俺が惚れてるからどうしてもそうなってしまう。 予備校にいく日はデートできない。 予備校が終わったら電話をかける。 千香は出なかった。 もう寝てしまったのかもしれない。 メールや電話もするようになったけど、やっぱり毎日一緒にいるのが一番うれしい。 喧嘩をして千香が拗ねても、俺が拗ねても。 千香が怒っても、俺が怒っても。 それもうれしい。 千香の住む団地のほうに回り道して帰ってみる。 1分でも会えないかなと。 電話をかけてみても出てくれなくて、やっぱり寝てるみたいだ。 俺が甘えてる。 千香に甘えさせたい。 俺は頼りないかもしれないけれど、きっと誰よりおまえに惚れてる。 おまえがつらいときは俺がそばにいたい。 おまえが泣きたいときは俺が抱きしめていたい。 だから…おまえには俺がいること忘れないで。 おまえの甘えに俺が甘えたい。 次の日、千香は学校にこなかった。 昨日、電話に出なかったし、なにかあったのかと気になって午前中のうちにメールした。 千香からの返事は授業が終わってもなかった。 すごく不安になる。 たった一日顔を見れなくて音沙汰ないだけで。 俺が夜にデートで遅くまで連れ回していることに、とうとう親が怒ったのかと考えたり。 何か連絡できないような病気になったのかと考えたり。 親に怒られたなら俺が謝りたい。 病気なら今すぐ見舞いにいきたい。 一日と離れていられないみたいで危険だ。 土日に会えなくても、こんなに気になったりしないのに。 しつこくメールしていいのか悩みながらメールを入れて、俺はいつもの待ち合わせ場所へ向かおうとした。 そこで返事を待とうかと。 今日は予備校もない。 返答次第で千香にすぐに会いに行ける場所にいたい。 「隆太、今日は予備校ないよね?若林もいないし遊ぼう?」 学校を出ようとすると、そう女に声をかけられた。 狙われている。 もういいから狙うな。 おまえからの告白はすでに断っている。 彼女いるのに告白して狙ってくる女の気がしれない。 …二股してくれということなんだろうけど。 安売りバーゲンセールか。 自分だけ見てくれる男を探せと言いたくなる。
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