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昨日から実行してみている女と話さないっていうの以前に断ったから、相手は俺の連れのつもりなのかもしれない。 狙ってるじゃなくて、そういうことにしてみても、他の女と遊ぶ気は俺にはない。 「待ち合わせ。遊ばない」 千香はくるかはわからないけど。 「若林と?どこで?」 これをよく男の連れにも聞かれている。 学校で話さないのに本当に待ち合わせなんてしているのかと。 本当に彼女なのかと疑われて。 俺が一人で勝手に口走ってるだけにすればとかわすが。 待ち合わせ場所を知りたがるやつは多い。 誰でもこれるし、邪魔されたくもないし、絶対に教えない。 近いのに、偶然通りかかることもありそうなのに、不思議とまだ誰も知らない。 「俺、おまえと連れになるつもりないから。もう声かけんな」 「こっちも連れになるつもりないよ。彼女になりたいんだから」 「彼女にするつもりはもっとないっ」 こういう会話ばかりの末に奈緒美を傷つけまくったことを思い出して、俺はもう話さないと決めて、女から逃げるように自転車に乗る。 軽く学校まわりを一周してから目的地。 公園の前にいつものように自転車を停めて、千香からの返事がないか携帯を見てみる。 返事はなかった。 しょぼくれながら、ベンチまで歩いてそこに座り、家に押しかけてみるべきか考える。 明日も学校にこなかったらにしたほうがいいかもしれない。 重い男になるのも嫌だ。 今でもじゅうぶん、俺の気持ちは千香には重いかもしれない。 最初はこんなに好きになるなんて思わなかった。 ただ遊んでくれたのがうれしくて楽しかった。 俺はベンチの上で横になって、千香といた時間、その中であった様々なことを思い出して、今のこのメールの返事もない不安を凌ぐ。 泣きそうになっていたかわいい千香。 俺のお手に不満そうで。 でもそれでもつきあうことになったことにどこか恥ずかしそうに喜んで笑った。 …めちゃくちゃ好き。 泣けるくらい好き。 にやつきまくるくらい好き。 お手をした自分の手を思い出して、俺は一人、笑う。 最初から俺は忠犬みたい。 ダメダメだけど、千香には忠実でいたい。 なんてことを考えていたら、公園に人の気配がして、俺は慌てて起き上がった。 千香かもと思ったのに。 そこにいたのはさっきの女。
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