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唇を離すとそのまま千香の頭を抱き寄せて。
千香は俺の肩に寄りかかってくれる。
もっと甘えてと俺はその頭を撫でる。
「殴ればいいなんてもう言うなよ?千香はなにもしていない。……いや、わかってる。俺がつきあう気はなくて、別に嫌いというわけでもないから、友達でと言ったのが悪いってわかってる。でも、そこにおまえが殴られる理由はない」
千香は俺の腕の中で頷いてくれる。
頷いてくれても、また同じようなことがあったら、この男前なかわいい彼女は殴られようとするような気がする。
まずは俺がまわりの女を完全排除するべきなんだろう。
無視を継続すれば俺に関わろうとする女もいなくなるか?
なんて俺なりの対策を考えていた。
「ねぇ?私がふれると逃げていたのに、抱き寄せられているのは気のせい?」
妄想の中の千香と同じようなことを言いやがる。
俺の妄想はやっぱり妄想ではないのかもしれない。
千香のある程度の思考回路を読んで、その言葉を出すのかもしれない。
「……千香からされるより、自分からしたほうが恥ずかしくないって気がついた」
なんてごまかしてみる。
少しは慣れたのもあるし、俺がふれると喜んでくれるからというのもあるし、もちろん俺がふれたいからというのもある。
それでもこうして千香の体温をここに感じていると、俺の鼓動はいつもよりドキドキしているわけで。
まったく恥ずかしげもないというわけでもない。
「…というか、だから、…俺の鼓動、聞こえてバレてるって思っていたけど、聞こえない?」
俺が千香にふれて、ふれられて喜ぶこと。
千香は俺の鼓動を聞くように、俺の背中に腕を回して胸に擦り寄る。
そんなことしたら余計にドキドキするっ。
千香は俺の顔を見上げてきて、恥ずかしくて赤くなりそうで俺は千香から顔を逸らす。
「恥ずかしいの?」
「からかうのなしっ。恥ずかしい…けど、嫌って思ってない」
うれしいとは恥ずかしくて言えなくて、そんな言葉になった。
千香は俺にキスしようとしてきて、ちょっと待ったと俺は千香の唇を手で覆う。
千香の体を俺の膝の上に抱き上げようとして、その尻にふれた。
それだけなんだけど。
千香もキスしようとしてくるし、甘えてくれるから俺の欲望が湧いてくる。
さっきあんなことあって、それもどうなんだとは思うけど。
もっとふれたい。
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