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もっと話したいことや聞きたいこともあるのに。
千香の私服姿がかわいかったせいにしてしまおうか。
「…千香、俺、…すっごくかっこつかないけど…」
どう誘うか迷いながら、言葉を選びながら。
膝の上に乗せた千香の目を見て、言えない言葉を伝えようとしてみる。
千香は俺の目を見つめ返す。
俺は手をゆっくりとスカートの中の千香の足に滑らせる。
気持ちいいさわり心地にどんどん期待してくる。
嫌がってくれてもいいのに、千香は嫌がる様子も見せない。
「えっち」
その咎めるような、からかうような言葉ももう言われ慣れてきた。
「……自分でもかなりそう思う」
少し反省はしてみる。
みるが、千香のその唇を片手の指先で撫でて指でキスしながら、足にふれた手は千香が拒否してくれないと止まりそうにない。
「体だけ?欲しいの?」
その言い方は違う。
「…体も。欲しい」
俺は千香の耳元で口説くように言い直す。
もっとべったりくっつきたくて、唇を撫でていた手を千香の背に当てて、その体を引き寄せると、千香は俺の頭に頭を寄せる。
嫌がって拒否られたい。
暴走しそう。
「…法学部受かったら?」
「だから、それ、無理だってっ」
それまで我慢できる気がしないっ。
千香は笑って、俺は恥ずかしくて拗ねてしまいそうになりながら、誘っても場所なんだよなと考える。
「…忍び込むじゃないなら、俺の家来てくれる?たぶん紹介する形になって、かなりやりづらいけど。俺の彼女だし。ちゃんと予備校にもいってるし。引け目はない」
親に紹介してもいい。
千香がいいなら、俺は親に千香を自慢してやろう。
親も別に何かを言ったりもしないだろう。
「…ぎゅってして?息苦しいくらい、強く」
千香は家にいくと言うでもなく、そんなふうに甘えてくれて。
俺は両腕で少し強めに千香の細い体を抱きしめる。
千香の胸が俺の胸で押し潰されるくらい。
千香は俺の耳元で何か甘い声と吐息を溢してくれて。
そういうつもりはなかったのに、俺の欲望がまた刺激される。
その背中を撫でて、潰れてしまいそうにも思いながら、更に腕に力を入れて抱きしめると、千香は吐息を溢しまくって、その首筋を俺の目の前にさらす。
引き寄せられるように、そこに唇を当てると、また千香の甘い声。
俺を暴走させるのは、無防備な千香だ。
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