Break

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しばらく我慢はしたけど、千香から連絡くることは本当になくて、また俺が甘えるようにメールしていた。 会いたい。 話したい。 そんなメール。 返事はないと思っていたのに、3回目には返信をくれた。 どうしたの? どうもしないけど、ただ会いたい。 どうかしたというなら、俺の中の千香というエネルギーが切れた。 あの待ち合わせ場所で待つこともなくなりそうになってる。 千香がこないのをわかっていて、ただ時間を潰しているだけの時間。 1年か2年かはわからないけど、そのカップルの待ち合わせ場所にもなってきて、更に居づらい。 今から会える? そんなメールをした。 時間はもう夜の9時を過ぎている。 会えないと言われるのは覚悟できている。 会いたくないと言われる覚悟もできている。 だけど会いたい。 どこで? 千香はそんな返事をしてきた。 俺はいつものところと返して、千香はわかったと返事をした。 俺のほうが何が起こったのかわからなかった。 本当に?と疑うのはやめて、服を選んで着替えて、そのまま家を出る。 会える?本当に? 心の中では疑っている。 だけど、待ち合わせのそのうれしさのほうが勝ってる。 こないかもしれない。 だけど、待っていればくるかもしれない。 こなかったら恨んでやればいい。 朝まで待っていてもいい。 俺は公園の入り口に自転車をおいて、明かりの少ない薄暗い公園に入る。 あたりを見回しても千香はいない。 やっぱり嘘かと思いながらも、全力で釣られてる自分が馬鹿だけどうれしくなってる。 遊ばれてるくらいでもいいんだと思う。 かまってくれたなら、それがうれしいから。 いつものベンチに座って、煙草を取り出して火をつけて、思いきり満足して夜空を見上げながら一服していた。 おまえを待っていると思えればうれしい。 ただの意地で居座ってると思うと淋しい。 その違い。 煙草を1本吸って、ベンチに転がって。 浮浪者のようにここで寝てしまおうかなと思っていたら、公園に人の気配。 もう通報でもされて警察がきたのかと思ったら、千香がいた。 …きちゃダメだって言ってやったほうがいいのかな。 本気でうれしくて泣きそうになる。 おまえが俺を振ったくせに。
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