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呼吸を乱すくらいにキスしまくったら、千香は蕩けた。
俺も脳内蕩けて、目の前の千香の唇ばかり追っていた。
つきあっているときより、俺が押しまくっている。
押し倒してもう一度つきあうと言わせたい。
もう一歩かもしれない。
って、押しすぎたのか、次に会いたいとメールしたときには、千香は俺に山瀬とつきあったから、俺にも他を探せというような返信をしてきた。
…逃げる。
俺を振り切る言葉もなく逃げる。
千香は、それで俺を振り切ろうとしているのだろうけど。
そんなもので俺が振り切られるわけがない。
山瀬に千香が惚れたなら別だ。
千香と山瀬が一緒にいるのを俺は何度も見ている。
山瀬は千香に受け止められていない。
俺を振り切ろうとする手段にしか見えない。
会いたいと強引に引っ張るのはやめてやった。
それで俺が千香から離れられるなら、俺にとってもそのほうが楽だ。
逃げるのを追い回すのも疲れる。
山瀬と千香のつきあいを見守るような、俺の小休止。
夏休み。
水着姿の千香を見たかったと思いながら、俺は予備校に通う。
会いたいとは思う。
学校に通うことがなくて、千香の姿を見れないから、更に会いたいとは思う。
勉強ばかりで疲れたときには会いたい。
町中で幸せそうなカップルを見ると会いたい。
小休止。
これが意地なのか、惚れているからなのか、俺は俺に問いかける。
問いかけながら、千香のこない夏休みの公園にいく俺は、どうやってもどこまでいっても、千香から離れられていない。
意地になって小休止。
そっちのほうが当てはまっているかもしれない。
いい加減、俺に戻れと。
甘えて寄りかかる腕ならここにあるだろと。
どれだけ伝えても千香は俺にだけは甘えたくないみたいな素振りだから。
俺から離れて千香は山瀬に甘えているのかもしれないけど。
二番でも三番でも。
俺は千香を待ってる。
千香とデートした場所を巡って、地下に続く階段のバリケードを乗り越えて。
俺は日陰になっている、通気もいいそこで小休止。
外からはうるさいくらいの蝉の声。
目を閉じると浮かぶのは千香の姿ばかり。
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