Breezy

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大学に通いながら、バイト先を探す。 親の世話になりたくなくて親がくれる仕送りに手をつけたくなくて。 手をつけていたら、また俺を脅すネタにしてきそうで。 地元からも高校の連れからも離れた新しい生活。 俺は決まったバイト先でよく知った顔に会う。 コウだ。 「なんでおまえ、ここにいんの?」 それは俺が聞きたい。 「おまえこそ。一人暮らしだろ?」 「俺の家、このへん」 そんなの知らなかった。 こいつとの腐れ縁はいつになったら切れるのか。 もっと遠く地元から離れないと切れないのかもしれない。 学校で連れもできたけど、コウが誘ってくれて遊びにいったりもするようになった。 高校の頃とは違うのは、俺もコウも親の監視がなくて完全に自由なこと。 俺に車という足があること。 コウが翌日休みのときはオールで遊んだりもする。 そのうち高校の頃のように、いつも遊ぶ仲間みたいなのが行きつけのクラブにできた。 まだ俺は18。 酒を出すところだし、年上も多い。 「ねぇ、リュウちゃん。つきあってみない?」 3つ年上の芹菜は俺に軽く言ってきた。 高校出てから、まったくもってそういう機会もなかった。 つきあいたいと言われるのも久しぶり。 「いいよ。つきあおっか」 俺は酒も入っていて、軽くokした。 俺の2人目の彼女。 軽い始まり。 千香のことはあの冬休み前から話すこともなくなって、高校を出て離れれば離れるほど姿も見ないから、あの痛みも忘れてきていた。 このまま忘れてしまいたい。 コウみたいに軽くつきあって別れてを繰り返したい。 あんなに誰かに惚れるのは二度とごめんだ。 芹菜と会えるのは俺のバイトも学校も休みの夜だけ。 芹菜はキャバ嬢やってると自己申告。 真面目にやってないらしく、俺が暇なときに合わせて休んでくれる。 どこかに連れていってが多いことから、俺の車が芹菜には魅力的だったらしい。 芹菜のお陰で車の運転をあまりしないかと思われたのに、運転の練習しまくりになっている。 俺の慣れない運転に芹菜は助手席で笑う。 「今日、どこいく?」 「夜景いく?案内するよ」 そんな道案内もしてくれて、俺の行動範囲も広がっていく。 友達のような軽いノリの楽しいつきあい。
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