Breezy

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芹菜の案内するままに車を走らせてドライブデート。 芹菜の目的地の場所に車を停めて俺はやっと落ち着く。 車は嫌いじゃない。 運転も嫌いじゃない。 でもまだ慣れない。 「見て、リュウちゃん。ここ穴場でしょ?」 芹菜は車の助手席から見えるらしい夜景にうれしそうで。 俺は少し覗くように助手席の向こう側を見る。 綺麗かも。 「前は誰ときたの?」 俺はからかうように聞いてみる。 「元カレ」 「このあとはどんなデートコースだった?同じことする?」 芹菜は俺を不満そうに見て、俺は笑う。 「もう。…同じことする?つきあってもうすぐ1ヶ月なのに、リュウちゃん、そういうの興味なさそうだけど」 「そういうの?」 「キスとかえっちとか」 あまりそこは考えてない。 芹菜とキスしたこともない。 いつもドライブデートして話して送ってバイバイ。 それで楽しいし、それでいいような気がしている。 「芹菜も興味ないなら、しなくていいんじゃない?」 「興味ないんじゃないよっ?リュウちゃんが仕掛けないからしないだけだよっ?」 「んじゃ、ラブホ?」 「……もうちょっと盛り上がろうよ」 即そこにいくのは嫌らしい。 女心は難しい。 ただ楽しく話して、真夜中になって芹菜を送って、いつものようにバイバイ。 タイミングがまったくわからないまま終わった。 仕掛けられないと俺は無理かもしれない。 友達のようなつきあいのまま2ヶ月過ぎて、偶然ラブホからコウと芹菜が出てくるのを俺が見てしまって破局。 繁華街にラブホがあるのが悪い。 俺はまったく責めてもいないし、好きにしたらいいと思ったのに、芹菜が泣いてごめんって言いまくって。 じゃあ、コウとつきあったら?と俺が軽く言って破局。 「…隆太、ちょっとは責めろよ」 バイト先、コウは遊びにきたかと思うと、なんか言ってる。 「好きにすれば?」 俺は俺しかバイトもいなくて、仕事をしながら思ったまま言ってやる。 「恨んでる?芹菜に手を出して悪かったって思ってる。許せ」 いや恨んでない。 許してる。 でもコウはなぜか俺に罪悪感だらけ。 仕方なく酒を一杯奢らせた。 芹菜とつきあって楽しかったし、運転もたくさんできたし満足なんだけど。 満足する俺はおかしいらしい。
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