Breezy

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「別れたらつきあってくれるの?本当?」 俺が別れさせたみたいになるのは勘弁してもらいたい。 あんなのだけど、コウのつきあい方、その気持ちは高校の頃に聞いた。 ちゃんと覚えている。 俺はコウの女に手を出すつもりはない。 元カノなら今は手を出してもいいかなと思えるようになったけど。 「つきあわない。もっとちゃんとつきあえよ。そんな軽く男を乗り換えようとする女なんて魅力ねぇよ」 「…だって…。今なんでこうなってるかわかってる?コウがいないのなんでかわかってるっ?」 コウは女をおいて、他の女に声をかけられて席をたったらしい。 俺がコウはいなくても顔見知りだからその彼女に声をかけた。 そしたらこうなった。 「…確かにコウにももっとちゃんとつきあえってところなんだろうけど」 俺は女に同意を見せてやると、女はその愚痴を俺に吐きまくる。 ただコウは二股をしない。 声をかけられて他の女につきあうことはあっても、股がけすることはない。 そうなる前につきあっていた女にフラれているともいう。 あいつが3ヶ月以上、同じ女とつきあっているのを見たことがない気がする。 下手をすれば俺がここに遊びにくるたびに連れている彼女が違う。 …すごい男だ。 今世紀最大の好色一代男。 って、あの話は一晩限りのつきあいが多いから違うか。 「なんなのよ、あいつっ。何様なのっ。女にモテまくっていい気になってっ」 女はひたすら愚痴ってる。 俺はコロナという瓶ビールにライムを絞って飲みながらひたすら聞き役。 「…やっぱり浮気しよ?リュウくん」 話はそこにいつの間にか戻る。 「かまってもらえなくて寂しいってこと?戻ってきたらいっぱい我が儘言って甘えとけ」 俺は女の頭を撫で撫で。 「…きゅーん。リュウくん、いい。そういう彼氏がいい」 「コウにそういう彼氏になってもらえば?」 「…違うっ。リュウくん、いいなって思ったんだってばっ」 俺は自嘲して笑う。 「それな、最近わかったことがあるんだ。俺とコウを比べるからそうなるだけで、俺単体にはなんの魅力もない。俺、ほぼコウの元カノからしかコクられたことないから」 俺の中身には女を惹く魅力はない。 コウのように女に魅力的な男になりたいものだ。
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