Breezy

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「そんなことないっ。好きなだけ愚痴らせてくれて、こうして慰めてくれる。そういうの魅力的。他の女が見る目ないだけだよ」 「自信を持たせようとしてくれる、そういうの魅力的」 俺は女の真似をするように言い返す。 それだけなのに女は喜んでコウへの愚痴もどこかに吹き飛んだ。 「すっごくうれしい。軽くないよ?大丈夫。だからつきあおう?」 「別れてもないのにそれを言うのは軽いって言ってんだろっ」 「今から押さえておかないと誰かにとられちゃうじゃない」 「誰にも拾われずに3ヶ月以上彼女いませんが?…その前にコウともっと話せよ。コウにフラれたらつきあってもいい」 「…あいつ、振りそうにないんだけど。いろんな女にすぐに連れ去られるくせに振りそうにないんだけど」 知ってる。 コウが女を振ったことがないことくらい。 「そんな男は嫌なの?つきあってっておまえが言ったんだろ?振られたいからつきあってなんて言ったわけじゃないだろ?」 「……そうだけど。リュウくん、難しい。リュウくんの彼女になる方法、他にないの?」 「ないよ」 コウと別れたら俺とつきあえるなんて思わせたくない。 「…リュウくんとつきあいたい」 「ありがとう。コウにつきあいきれなくなったらまた話くらい聞く」 女は不服そうにしていたけど、俺はそれ以上は言わずにビールに口をつける。 そのうちコウは戻ってきて、女は俺に見せつけるようにコウに絡んでいく。 俺はそれを笑って眺めて、社会人で月給もらっているコウに一杯奢らせる。 彼女をつくる気はあっても、芹菜とつきあったように軽くはいかない。 俺に告白してくれるのはだいたいコウの彼女。 元カノになってからっていうのもあるけど、元カノになっていてもどうしても受け入れきれない。 元カノならいいかと思っていたけど、俺の何かがそれを止める。 それでもコウの彼女を一人、引っかけた。 こんな女とつきあっているのはどうなんだとコウに言いたくなる女だったから。 見た目はそこまで美人でもかわいくもなく。 なのに男にちやほやされるのが大好物らしく、コウがいないのをいいことに手当たり次第愛想を振り撒き、尻尾を振る。 俺にも尻尾を振ってきた。
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