584人が本棚に入れています
本棚に追加
正月には家に戻ってこいと言ってきた親を無視して俺は自由な中で、自由気ままに過ごす。
親が大学中退したら全額返金という脅しをくれたせいで、大学が面倒になっても通うしかない。
それでも大学よりも外の遊びのほうが楽しくて、たまにサボる。
サボってわからなくなって、父親がくれた六法全書を引っ張り出してきて調べて課題提出。
もしかしたら餞別の中で一番使うことがないのはゴムかもしれないと思いながら、母親が餞別にくれた恋愛エッセイを六法全書を引っ張り出したついでにぺらっとめくってみる。
母親の恋愛観なんてどうでもいいけど、こんなの書いていやがったのかと読んでみてしまう俺がいる。
「拾われないの?かっこいいのに?」
バイト先、店にきた客にビリヤードを教えていると彼女いるんですか?という話になって、そんな話題。
「かっこよく見えます?」
「真面目っぽく見える。お洒落。そのピアスと指輪かわいい」
「手作り。あげようか?」
かわいいと言ってもらえていい気になって、左手につけていた指輪をあげた。
喜んでもらえてうれしくなる。
また店にきてくれるような常連になって、つきあうことになった。
2つ年上の彼女。
ビリヤード初心者。
俺がバイト入ってるときはほぼ全日きてくれて、店長に冷やかされつつも彼女の支払い代金をチャラにしてもらったりもする。
前の八方美人彼女のときと同じように、俺の家で一緒に銀粘土でアクセサリーを作る。
形を作って乾かして焼いて磨いて完成。
「…隆太、器用。なんでそんな売り物みたいなの作れるの?」
「おまえ不器用だな。なにこの塊」
「指輪っ。ここに穴あるっ」
「赤ちゃんの小指の指輪かよ」
「意地悪言わないでよっ。どうせ不器用だよっ」
不器用彼女は拗ねながら俺の作ってあげた指輪を磨く。
その横顔かわいくて、軽く頬にキスした。
不器用彼女は俺を見て、唇を差し出してきて、俺は笑ってその唇にキス。
「…泊まっていっていい?」
なんて言葉にドキッとする。
期待してしまう。
恥ずかしくもうれしく、思いきり下心で頷いた。
…まったくもってそういうのはなかった。
俺の体に寄り添って眠っただけ。
手出そうと思ったときには寝てた。
不器用な気まま彼女は八方美人彼女より小悪魔。
最初のコメントを投稿しよう!