Breezy

15/30
前へ
/606ページ
次へ
「…あのぅ、それってなんのドッキリでしょう?あ、それより隆太、ワイヤークラフトのこと。今ちょうど学校でやってるんだ。持ってきたから見て見て」 思いきり流された。 造形の学校に通うドジっこ1つ年上彼女。 俺に見せようと持ってきたワイヤークラフトはもちろんのことのように潰れていて。 俺は泣きそうになってる彼女と一緒にそれを立体に戻していく。 …この馬鹿なところがかわいすぎる。 「本気。つきあおう?」 「隆太、イケメンだからいや」 「イケメンじゃないって。法学部の生真面目好青年」 「隆太、優しいからいや」 「優しくないって。潰してやろうか、これ」 「やめてーっ。これ以上潰さないでーっ」 「じゃあつきあおう?」 「…どうせすぐにいなくなっちゃうでしょ?そんな彼氏いらない」 …かわいい。 「すぐにいなくなったりしないって。俺、フラれてばっかりだよ。振ったことないよ」 「……別れるときは私にも隆太を振らせてくれる?」 「なにそれ?そんな先のことなんてわからないって。俺から振ったことないし別れを決めてるのは俺じゃない」 「いいの。別れたいって隆太が思ったら、言ってくれたらいい言葉を決めとく」 「なに?すぐ俺が言いそうなのはなしだからな?」 「…じゃあ、かわいいって言って。そしたらバイバイって言ってあげる」 「…かわいいって思ってる。それ却下」 「口うますぎ。隆太の口から誉め言葉しか出ないとしたら…、ブス?それでいいや。本当にブスだしデブだし言われたくないけど、キレてバイバイって言いやすくなりそう」 「なにその合言葉。それ了承したらつきあってくれるの?」 「うん。いいよ。隆太は私でいいの?」 「おまえがいい」 「……そんなのさらっと言わないでよっ」 なんか怒られた。 喜怒哀楽激しいドジっこ合言葉彼女。 最初からけっこう気に入っていた。 これから先のつきあい、同じ趣味だし、楽しくなりそうだなと思っていた。 つきあって1週間。 彼女の家からの帰宅途中。 駅から出ると正面に千香がいた。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加