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「それって1年以上前の話でしょっ?」
「ナンパ男にヤられても構わないって思うなら、俺にもヤらせろっての」
俺は思いきりケンカ売るように言ってやって、千香は俺から逃げようともがく。
誰が逃してやるか。
俺は千香の腕を引っ張りすぎないように離して、その肩を抱いた。
腕は引っ張ると抜ける。
憎くはあっても傷つけたり殺したりしたいわけでもない。
1回で終わること。
たったそれだけのこと。
それで許してやろうと思ってるんだから、それくらい受け止めろ。
「ちょっと待って、隆太っ」
「千香が覚悟決めろよ」
俺は千香の俺を見る目をまっすぐに見返して、その髪をかきあげるように頭を撫でて言ってやった。
こんな形で初めて女とセックスってどうなんだと冷静に考えてみる。
どうせなら初めては不器用彼女にイカせてもらったときみたいに、甘く教えてもらいながらがよかったようにも思う。
千香は嫌がっているし、とても教えてもらえそうにはない。
…俺の知識なんてエロビデオと経験者な連れが話しているものしかない。
ちゃんとできるのか俺のほうが不安だったりする。
そんな不安を千香に言うことなんてできるはずもなく、ラブホまで本当に歩いてきてしまった。
芹菜とつきあってるときにラブホ見学はしたことある。
突然の大雨に降られて、家も遠くて車でそのまま帰るのは風邪ひきそうで。
ラブホに入ってもシャワー浴びてドライヤーで服を乾かしただけだけど。
千香がおとなしく俺についてくるから、俺は普通に部屋を選んで鍵をとって、あとは電灯の案内のままにエレベーターに乗って部屋へ。
千香が立ち止まると引っ張る。
不安はあるけど、ここまできてやめたとはなれない。
たったそれだけのこと。
だけど俺にとっては初めてのこと。
部屋に辿り着くと緊張。
でも頭の中、もうやることしか考えない。
じゃないとまた逃がしてしまう。
千香の背中を押して部屋に入って扉を閉めて。
千香は部屋の中、どこかにいこうとして、俺は逃がさないようにその体を壁に押しつけた。
ベッドでやるべきなんだろうけど、そこまでいくまでに逃げられそう。
部屋の鍵はオートロックで締まって開かなくなるからラブホを選んだけど。
どこまでも逃げられそう。
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