Breezy

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「……まだチェックアウトの時間じゃない」 俺は千香の背中に手を当てて、ベッドに乗りかかる。 もう痛くないって言ったし。 もう一回…。 そんな下着姿でいるのが悪い。 「彼女いるくせに」 「…別れたら?」 俺は期待して聞いて。 「隆太が一人になるね」 千香ははずしてくれる。 「違うだろっ、それっ。おまえ、何度、俺に言わせるんだよっ?」 わかってるだろっ。 俺が言わせたい言葉っ。 俺が言うしかないのか? 昨日、おまえが言った声、俺、ちゃんと聞いてる。 それってそういうことでよくない? 彼女いるくせにって言うなら別れておまえとつきあう。 俺の片思いじゃないと言ってくれるなら、それでよくないか? 「言わなくていいよ。彼女と仲良くすればって言ってあげた」 千香は俺が欲しい言葉をくれない。 悔しい。 やっぱり俺のほうが惚れてる。 「別れるっ。千香が何を言っても別れてやる」 「別れなくていいんじゃない?私は…隆太を振ったよ」 俺とつきあう気はない。 俺にはそう聞こえた。 …わからない。 また俺はフラれてるのか? 「……何度、おまえは俺を凹ませる?」 「隆太が何も言わなきゃいいんじゃない?」 俺から言葉を取り上げるのかよ。 俺はまた俺に落ちない千香に悩まされながら、何も言わずに千香を抱きしめる。 その体に顔を擦り寄せると、またドキドキしてくる。 何も言わないままでいると、千香も何も言わなくて、拒否をすることもなくて、そのまま朝からいちゃついた。 いっぱい千香の体をさわりまくった。 全身キスしてやった。 かわいい声も聞けて俺は満足。 チェックアウトの時間にはラブホを出て、朝飯も食べてないし、そのまま昼飯を食べにいく。 千香とデートを久しぶりにしてる。 2年ぶりになるだろうか。 「家くる?一人暮らししていて、この近く」 「ラブホ行かなくてもよかったんじゃない」 「…ラブホのほうが逃げられなさそうだったから。千香は?実家?」 「実家。一人暮らしいいなぁ」 「狭いけど。くる?」 きてほしい。 俺の家でまたいちゃいちゃしてもいいかもしれない。 千香がいくと言わなくても、連れていくつもりで俺の家に向かってる。
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