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「あの子、かわいかった。元カノ?」
「高3のときに1ヶ月だけ」
「私より長い。私、1週間」
それを言われると俺が落ち込む。
そういうつもりはなかった。
美優はパイナップルヘアで粘土を捏ねて、さっき作っていたらしきものをもう一度つくる。
俺はぴとっと美優の体に軽く抱きついてくっついて、背後からそれを眺める。
美優の裸足の足と太ももについた粘土の汚れのほうが気になる。
「でも私と早く別れて正解だったでしょ?私、かわいくないもん。騒がしいだけ。彼氏なんていたこともない。部屋着はこんなのだし、お洒落じゃないし」
「キスしよっか?」
「キスもしたことない。女として魅力ないんだよ。隆太がつきあおうなんて言うから、なんの間違いかと思った」
さらっと俺をかわしてる。
何気なく腕は胸にふれてるのに気にしない。
鈍感なだけだと思う。
調子に乗ってそろそろっとその足のつけねから太ももを撫でてみる。
すべすべ柔らかい。
「くすぐったい。そこさわっちゃいや」
「…気持ちいいことしよ?」
俺は美優の耳元に少し恥ずかしくなりながら誘ってみる。
「ヤり目?隆太なら他に相手になりたい子いるよ。粘土つくから離れておいたほうがいいよ」
さらっとかわされる。
感じさせようとその首筋にキスしていくと、くすぐったいと笑って嫌がる。
更にじゃれたら、美優はきゃあきゃあいって笑って転がって、粘土まみれ。
頬にも粘土つけて、少年みたいでかわいい。
俺も粘土まみれになりながら、美優の上に乗りかかって、きゃあきゃあいってる美優にキスしまくる。
唇に軽くキスしたら笑うのをやめて不思議そうに俺を見る。
「なに?」
「…今のキス?」
「キスしまくってるけど?というか襲ってる」
「……帰れ。ケダモノ」
「気がついてなかっただろっ。…相手して。美優」
「…なんで私なの?隆太に惚れたらどうするの?もうフラれるのいや。遊べる女、ちゃんと選んでよ。もう拾わないでいいよ。いやだよ」
美優は泣いて、俺は淋しくなる。
遊びってわからない。
千香に惚れてるなら、それ以外全部遊び?
美優をかわいいと思って、欲しいと思うのは遊び?
千香に惚れた気持ちをまたなくしたいって思うのは?
…俺だって嫌なんだよ。
待ってるなんて嫌だ。
待ってしまうのが嫌だ。
また会ったらまた追いかけそうな自分が嫌だ。
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