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「私のした恋愛なんて隆太とつきあった1週間だけだから、私には隆太の気持ち全部、ちゃんとわかってあげられそうない。そんなにずっと誰かを好きでいられる気持ちを持てるのが羨ましい。つらいのも苦しいのも悲しくなったり淋しくなったりするのも、それが本気だからだと思う。隆太にそんなに好きになってもらえる人が羨ましい」
俺がまた泣かせてしまったのに美優は俺の溢した言葉に応えるように、俺に美優の考え方を教えてくれる。
また美優を襲いたくなる。
羨ましいなんて思うなら、同じように美優を好きになりたい。
どこか喜んでしまっている自分がいて、俺は気持ちのままに美優にキスしようと距離を詰める。
最初から気に入っていた。
千香に会ってなかったら、俺から別れるなんて言わなかった。
つきあおうは俺から言った。
断られてもめげずに言った。
俺が近寄ると美優は俺から離れるように体を後ろへ。
嫌だとまた泣かれそうに思う。
それでもふれたくて、どんどん近寄ってみると、美優は後ろに倒れて頭をぶつけて痛がる。
「いったーい。なんなのっ?手の届きそうなところにくるな、ケダモノっ」
「それは八つ当たりだろっ。頭ぶつけたのを俺のせいにしないっ。
……美優、もう一回つきあおう?」
「あの子のかわり?そんなの私になれないよ。羨ましいとは思うけど、隆太にそんなふうに愛されたいって羨むけど、かわりなんてなれない。かわりにされたくもない」
またフラれてる。
「かわりじゃないって」
「じゃあ、あの子が隆太に戻ってくるまでの遊び?」
「…戻ってこない。俺が追いかけないと振り返りもしない」
「…私にしたみたいに家まで押しかけて追いかけてから言って」
「…そこまでしたらストーカーだろ?」
「そこまでしてあの子に完全に嫌われたら私が拾ってあげる」
つまり嫌われるまで千香に叩きのめされなければつきあわないということ。
今ふれたいのに。
俺はふて腐れてすぐには何も答えなかった。
「…嘘だよ。そんなに他の誰かを好きでいる人とつきあいたくなんかない」
…俺は美優がいいんだけど。
千香に惚れた気持ちを完全に消せなければ浮気のようなものにしか思われないみたいだ。
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