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「なに?彼女か?」
「彼女」
俺はコウに答えて。
「つきあってないっ」
美優が否定しやがる。
美優と曖昧な別れから俺は他の女にいくら声をかけられてもつきあってない。
1週間だけの元カノ。
1週間のつきあいなんて、同じ学校でもないし、俺はバイトもあるし、彼氏彼女で会ったのは2回くらいしかない。
他の女と一夜はしていても美優がいいなら今は美優としかつきあう気がない。
軽い立ち話から、俺が美優を離してやらないこともあって3人で飲む。
「美優、なに飲む?」
「甘いお酒」
「ファジーネーブルでいい?」
コウは美優にカクテルを買って渡して奢る。
…先手取られた。
美優は俺の腕に捕まってるのに。
「なんだ。隆太の元カノか。こいつから女にべったりくっついて構ってるなんてめずらしいと思った」
「元カノ言うな」
俺は少し認めたくなくて言って。
「1週間のつきあいじゃ元カノなんてとても呼べないよ。ただの友達」
美優が更に言って俺が凹む。
…やっぱり元カノでもいい。
友達はもっと認めたくない。
「そうなると私、誰ともつきあったことない。…コウ、つきあってくれる?」
俺の目の前で俺の腕の中で美優は何か軽く言った。
「いいよ。つきあおっか」
コウは軽く答えた。
あっさり。
「ちょっ、待てっ。美優は俺がっ」
焦って止めようとした。
俺が狙ってる。
フラれてるけど。
まだ千香みたいに逃げられていないからいける。
「もういいってば。隆太にフラれたの私だよ。かまってくれなくていいんだよ。コウとつきあったら私のこと気にしないでしょ?コウ、つきあってくれるって言った」
美優は俺の腕をほどいて、俺を振り返る。
それ違うっ。
俺がかまってほしい。
おまえにっ。
…他の女に誘われて軽くついていこうとしたのを見られたのが悪かった。
また通じない。
おまえがいいと俺が思うその気持ち。
「美優、今から俺の彼女でいいの?本当に?」
「うん。コウ、私の初めての彼氏。…って私でいいの?軽くない?」
「俺でいいの?軽くない?」
美優とコウは言い合って楽しげに笑う。
…ちょっと待て。
それとるのはダメ。
……思いきり落ち込んだ。
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