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軽い恋愛したいけど、軽いばかりの恋愛は虚しい。
ハマりまくった恋愛は懲り懲りだけど、惚れられたい。
愛されたい。
同じように愛してやるから愛して。
好きじゃなく、愛してると言われたい。
コウから美優と別れた話を聞いて即狙ってやった俺がいる。
美優の家にいってインターホンを鳴らした。
美優はまた黒ブチ眼鏡にパイナップルヘアで出てきて、俺の顔を見ると何も言わずに閉めようとして。
俺は無理矢理開ける。
「なんなのよっ。隆太と友達になったつもりないっ。帰れっ」
「なんでコウはよくて俺はダメなんだよっ」
「コウは友達になってって別れたっ。友達気取るつもりないけど友達っ」
「そこじゃなくて、コウとしただろっ?」
言ってやると美優は俺を不思議そうに見上げる。
「…女にしてって私が頼んだけど?隆太に関係ある?」
この鈍感。
俺が嫉妬することなんてわかってない。
「俺は?…体いらないからつきあって」
それ目当てじゃなければ…なんて考えた。
「…どうせ女として魅力ないよっ」
なんて怒って、また扉を閉めようとする。
「おまえはどっちがいいんだよっ。コウとは軽くつきあって俺はなんで軽くもつきあえないっ?おまえとつきあいたいって何度言ったらいいんだよっ」
俺は閉められないように開ける。
「惚れるのいやっ。フラれるのいやっ」
「惚れろっ」
「絶対にいやっ。
……わかった。友達にならなってあげる」
美優は俺に譲ったかのように扉を閉めるのを諦めて言ってくれる。
「…そんなの望んでない」
「友達にしかなってあげない」
「なんでっ?」
「……すぐにいなくなる彼氏なんていらない」
…ごめんとしか言いようがない。
千香といるときに美優のことをまったく考えていなかったのは事実。
また千香が現れたら追いかけてしまいそうなのも事実。
凹んだら、美優は背伸びして俺の頭を慰めるように撫でる。
「…あの子、待っていたらいいんだよ。かまってほしかったら遊んであげるから」
待っていたくないんだと言っても通じない。
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