(Body and soul)

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愛されたいと願うのに、なぜか俺は誰かを愛するばかり。 美優にかまってもらう日々の合間、遊びに出るとコウがまた新しい彼女を連れている。 おまえはどうしてそんなにいろんな女とつきあえる気になるのかと聞きたい。 フラれても俺が諦め悪いだけなのかもしれない。 諦め悪くなるような相手にコウが出会っていないのかもしれない。 また貢がせるだけの女だったりして、コウを憎くも思いつつ、さっさと別れろとその女をひっかけてみる。 これこそそういう遊び。 別に恋愛したいとも思わない。 つきあいたいとも今のところ思っていないし、小悪魔彼女のときより俺は醜悪かもしれない。 別れたらコウはまた別の女をつくる。 また新しい彼女と話してみて、まあいいかと思えば、放っておく。 放っておいてもコウはフラレるフラレ虫。 ここまでフラレる男もめずらしいかもしれない。 最近しか俺はコウの女に声をかけていっていないのに、コウには俺が彼女を奪ってると思われてきている。 言いがかりだ。 ただ、声をかけているのは俺。 そこはコウが美優を簡単に落として抱いた腹いせみたいなものがある。 すべてが善意で悪意がまったくないわけでもない。 美優を無理矢理遊びに連れ出して、クラブのイベントにいくと、コウはまた新しい彼女を連れていた。 それがミク。 愛想いい1つ年下。 コウが隣にいるのに、ミクは俺に軽いスキンシップをしてくる。 これは何股彼女だろうと探ってみたくても、俺は隣に美優がいてそれもできない。 「リュウちゃん、この曲なにかわかる?」 「わからない」 「けっこう好きかも。踊ってこようかな。リュウちゃん、一緒にいこ?」 初対面だと思う。 なのになぜか俺の彼女みたいに俺に声をかけてくる。 俺はミクに腕をとられて引っ張られて連れ去られそうになって。 美優が重りのように俺に抱きついて止めてきた。 「ちょっと。彼氏こっちじゃないでしょ。コウにかまってもらいなよ」 「俺、踊るのいや。飲みにきてるだけ」 コウは美優に答えるように言って、だからだとでも言いたげにミクは美優を見る。 「だめっ。彼氏にだけかまってもらったら?」 「…じゃあ…お姉さんも一緒に…」 「いや。私も踊りたくない」 ミクは俺を見る。 …俺は美優に抱きつかれていたい。
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