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何も聞かずにわからないふりしてデートすればよかったのかな。
でもそのあと、何も言わずにまったくかまってくれなくなっていたのかもしれない。
痛いと泣いてる美優をあやすように抱き締めながら、俺も泣いた。
美優が俺にくれた美優の初恋。
美優は俺が崩した服をちゃんと着直して。
俺はもう一度お茶を美優に渡す。
美優は泣き止んだけど、まだ鼻をすすって、俺に恥ずかしそうに笑ってみせながらお茶に口をつける。
「……どうしてもだめ?1番にするって言ってもだめ?」
諦め悪く美優の手を握りながら俺は聞く。
「…隆太があの子を本当に忘れられたときに会いたかった。今はだめだよ。隆太はまだ忘れられてない。私が苦しくてつらくて痛くて壊れちゃう。
それでもね…、本当に…。隆太、大好きだよ」
美優は飲んだお茶をそのまま涙にしてしまったように、また涙を滲ませた目で俺を見て言う。
「……俺も好き。…もう会えない?もうかまってくれない?俺、諦め悪いんだって」
「…しつこい。…なんて言ったほうがいいのかな?
……大好き。だーい好き。今いっぱい言って、あの子より隆太が忘れられない女になってやる。
…もう会わない。メールも電話もしない。メールや電話をくれても、家にきても応えてあげない。
……私が隆太に会いたくてどうしようもなくなっても我慢する。
ね?だから今いっぱい言うよ?大好きだよ、隆太」
「…そんなに好きなら1番になろうってしてくれよ」
「だって無理。私、デブだしブスだし、あんなかわいくないし。眼鏡だしパイナップルだしTシャツ短パンだし。あんなお洒落じゃないし」
美優は自分を卑下しまくる。
「俺は美優のこと全部かわいいって思ってる」
「あの子が隆太の理想のくせによく言う。口がうまいんだから」
「うまくない。かわいいもんはかわいい。ドジっこなとこも鈍感なとこも泣き虫なとこも」
「…ドジとか鈍感とか悪口にしか聞こえない」
「でもそれがかわいい。……好きだよ。美優」
「……もっと言って?」
おねだりされて、俺は好き好き言いまくる。
美優はうれしそうに笑ってくれる。
かわいい顔で笑う。
「愛してる」
なんて言葉にしてみると、美優は赤くなって。
俺はそんなかわいい美優にキスをした。
美優の手は俺の手をしっかりと握っていた。
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