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前のコウの小悪魔彼女のときは遠慮することもなく、俺もその何股に入ってやろうとして俺の家に連れ込んだりもしたけど。
ミクはわからない。
何股としていそうなのに、コウの女関係に嫉妬を見せたりして、俺が介入するべきじゃない気もする。
「リュウちゃん、次これ歌って。これ。これ好き」
「…洋楽ラップを俺に歌わせる気か」
「歌ってー」
ミクは選曲送信。
もちろんそんなもの歌えるはずもなく。
音楽だけが流れる。
「歌ってよーっ」
ミクは俺を掴んで揺らしてくる。
「無理だってっ。おまえが無茶振りしてるんだよっ」
「歌えるっ」
ミクはマイクを握るとでたらめな英語で歌って、俺は笑う。
なんか楽しい時間を提供していただいた。
沈んでいたのが嘘のようにミクのペースに引っ張られていた。
カラオケを割り勘で支払って、ここでおやすみかなと思っていたら、今度はゲーセンに引っ張られる。
ひたすら連れ回されて、もうくたくた。
いっぱい遊んだ。
もう帰りたい。
「朝までまだ時間あるよ。隆太、いくぞ」
ミクは俺をなんだと思っているのか。
しかも年下に呼び捨てられるのは初めてかもしれない。
「もう帰る。疲れた。おまえ、元気よすぎ」
「なんだよ、年寄り。ちょっとくらい遊んでくれたっていいじゃないかぁ」
ちょっとはもうずいぶん前に遊んだ。
今はもうじゅうぶん遊んだ。
小柄なのにけっこう何気にパワフル。
「隆太の馬鹿」
なんか口悪いし。
なんか拗ねて一人で歩いていくし。
これにつきあいきれる男はそう多くないと思う。
人の少ない深夜の繁華街。
そんな場所でもミクは少し歩くと二人組の男に声をかけられている。
誰にでもなつくのか、愛想よく相手してる。
俺は一つ息をつくと、ミクを追いかけて、その腕を握ってナンパから引き離すように連れていく。
「…妬いた?」
ミクは笑って俺の顔を見上げて聞く。
「誰が。あんなのについていくなよ?まわされて終わるぞ」
「3Pかぁ。興味はあるけど、そういうのなかなかないよね。リュウちゃんはしたことある?」
なんの話題だよ。
「ない」
「コウちゃんとリュウちゃんとしてみたい。イケメン2人と…」
「絶対にいや」
夢を語るようなミクの話を割るように即言ってやった。
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