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「なんですぐ、コウちゃんの話にしちゃうの？」
「おまえの彼氏はコウだろ。俺を彼氏扱いすんな」
言葉とついでに絡められている腕をほどく。
「リュウちゃんも彼氏がいい。リュウちゃん、彼女いないし。よくない？」
「よくない。俺の失恋を慰めるつもりなら、いい女でも紹介して」
「リュウちゃんの好みは？」
それを言われて、今までの彼女を浮かべてみた。
千香は却下してしまいたいところではある。
はっきりいって俺の歴代彼女、重なるものがなにもない。
しいて言うなら…。
「年上のお姉さん」
そう。千香以外、みんな、年上だった。
年上らしさのある年上というわけでもないけど、年齢は上。
あと、ノリがいい。
年下のくせに生意気なんだよと怒られたことはない。
「それ、私、無理じゃないっ。年齢じゃなくて外見は？」
「かわいい」
俺にとっては。
「身長？服装？」
「関係ない。Tシャツ短パンの部屋着でじゅうぶんかわいい。身長160以上あってもかわいい」
「リュウちゃんの好み、難しすぎるっ」
なんて言われて俺は笑う。
重なるものはなくても、みんなかわいかった。
それだけは言えるから。
千香はかわいいけどかわいくない。
いつも逃げられてばかり。
あいつほど憎める女もいない。
「一番は…俺を愛してくれる人がいい、かな」
愛ってくさい言葉だと思っていたけど。
簡単に好き好き言われると、その言葉のほうが重く響いていい。
コウが高校の頃に言っていた言葉だけど、今はよくわかる。
LikeよりLoveがいい。
「あ。それならっ」
ミクは立候補するかのように手をあげる。
「彼氏いるやつの愛ってなんだろうな？だからおまえは俺を彼氏にしようとすんなっ」
「……別れたら？」
その言葉、どこかで聞いたような気がして、思い出した。
俺が千香に聞いた。
別れたら？
隆太が一人になるね。
……別れるなんて言わなきゃよかった。
「おまえは俺と同じ間違いは犯さないでくれ。コウはおまえのこと、大切にしてるから。１度別れてしまったら、やり直す恋愛はコウはしないから。簡単に別れようなんて考えんな」
女が去れば終わってしまう。
あいつはそんな恋愛ばかりしてるから。
一生寄り添うくらいの気持ちでいてやってほしい。
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