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「もう二度としない」
言ったら、晃佑は私を振り返って、それはいやって顔を見せてくれちゃう。
「だから…、本気、もう止められたくないってとこまできて、おまえが逃げようとするからっ」
「もっと普通のがいい。別の記憶思い出しそう」
「……脅されている気がする。…おまえとするまで、こんなことしたことないし。おまえとするのがすごい気持ちいいの。慣れて?」
わかっているくせにやっているらしい。
気持ちよく…なってくれるのはうれしいと思う。
慣れたと言えば慣れた。
2回目で慣れていると言えば慣れている。
そういうパターンなんだと。
「普通のしてみたい」
「初めては?」
「晃佑だよ?」
普通に答えると、晃佑は混乱してくれた。
「……他に男はできたことないってこと?」
私はうんうん頷く。
「…知花、美人顔でスタイルもすごくいいのに。モテただろ?」
「モテたことなんてない」
「いやいや、高校の頃、おまえのこといいって言ってたのがいるって」
「言われたことない」
なにかものすごく答えるのがいやになってきた。
告白なんてされたこともなければ、男友達もいなかった。
どうせ晃佑は告白されまくりの女友達たくさんの人だと。
「…俺が初めての彼氏?本気で?」
何を今更という気がする。
私はそんなにめずらしい生き物なのだろうか?
「晃佑とお父さんくらいしか男なんて知らない」
「…かわい」
晃佑はどこかうれしそうに呟いて、私はどこか馬鹿にされたような気分になる。
もう言わない。
私のこと、もう話さないっ。
「普通のする?知花が逃げなければ、普通に普通だから。そういうプレイが趣味ってわけじゃないし」
晃佑はにこにことうれしそうで。
「他に男つくってやるっ!」
って泣きそうになりながら、悔しくて言っていた。
実際、まったくもってつくれる気がしない。
私は晃佑にふれるまで、本当に男にふれたことはなかった。
晃佑にふれられるまで、男にふれられたことはなかった。
「ちょっ、なんでそうなる?知花が俺だけのものっぽくて喜んだだけだってっ」
「晃佑も私だけのものになってよっ」
「なってる。俺の彼女はおまえだけ」
「過去にいっぱいいるっ」
「……なぁ?さすがにそこに公平さは求めないほうがいいんじゃないか?3ケタいきそうな勢いで元カノいるから」
「女好きっ」
「だったらおまえも3ケタ全部にフラれてみろ」
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