Signal

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懸念したえっちができても、なぜか痴話喧嘩。 思いきり痴話喧嘩。 わかってはいるけど、3ケタなんて初耳だ。 そこまで元カノがいるってどうなんだろうと思う。 以前に加藤くんとの話を聞いたとき、1週間もたたずに乗り換えられたと言っていたから…。 どう考えても短いつきあいの繰り返しだったのだろうとは予測がつく。 週替わりで彼女がかわっていっていたんじゃないかとも思ってくる。 ただ…、そんな中で少し特別に思える元カノが余計に気になってしまう。 ミク。 迷えるくらいの相手だったのは、もうなにも聞かなくてもわかる。 顔も知らないその人を気にしていてもどうしようもないのだけど。 晃佑は彼女のことが好きだったんじゃないかって思ってる。 迷った姿なんて見せないほうがいい。 今はわかってくれているかもしれないけど。 一度聞いた晃佑の迷いは、簡単には忘れられそうにない。 学校も始まって、バイトも新しく決めて晃佑の家から通う。 千香に電話で晃佑と戻った報告をして、晃佑が言っていた友達紹介の話をしてみた。 千香は快く了承してくれた。 他にも女友達はいるけど、こういう合コンにも思えることには少し誘いづらい。 しかも相手は晃佑とその友達。 千香くらいしかひくことなく話してくれる子はいない気がする。 …私は…ひいていた。 私から壁をつくっていた。 晃佑は軽々と壁を乗り越えて近づいてきた。 そんな調子で狙った女の子落としたりして、元カノ3ケタなのかと思うと、あまりうれしくない。 晃佑は嫌がったけれど、私がまだ唯一といっていいほどわかる加藤くんを誘ってもらって。 夜にダイニングバーで友達紹介。 「……スギ」 「なに?」 「私言ったことなかった?あいつ、元カレ」 千香は加藤くんを指さした。 思いきり初耳だ。 「人を指ささない。杉浦サンとわかって千香の友達だとわかったけど。まさかこんな紹介をされるとは。 …普通に困る」 加藤くんは晃佑に言う。 「知花がおまえの元カノ連れてくる予想はしてなかったんだって。ま、いいんじゃないか?誰もつきあえとは言っていないし、おまえに知花を狙われなくてすむし」 晃佑は気にしてあげないとでもいうように、加藤くんの服を引っ張って店内に入っていく。 「……いや、私も困るかも」 「いつつきあっていたの?」 「高校3年の4月だけ。…もうすぐ3年前か」
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