Some time

5/13
前へ
/606ページ
次へ
耳が熱い。 耳たぶにふれようとしたら、晃佑は私の手を握って止める。 「あまり弄るとバイ菌入って化膿する。…俺のピアスより、もっとかわいいのつけたいな。キラキラしてるのとか、揺れるのとか」 耳、燃える…。 痛み止めと麻酔薬欲しい。 氷で感覚を麻痺させてあけたはいいけど、感覚が戻ってくるとふれたくてどうしようもない。 「この違和感、眠ってるときにさわっちゃいそう」 「ずっと手、握っておく?」 言われて、握られた自分の手を、晃佑の大きな手を改めて意識してみて。 ぎゅっとその手を握る。 晃佑の手、好きだ。 その腕も胸も背中も好きだけど。 晃佑の手を揺らして軽く浮かれていると、晃佑の唇が私の頬にふれて。 視線を晃佑の顔へ向けると、唇にキスをしようとしていて。 私は目を閉じてその唇を受け止める。 擦りつけられる唇に、顎をどんどんあげていって、私は後ろへと倒れていきそうになる。 頭、ぼんやり。 キス、気持ちいい。 手が離されたと思うと、私の背中に添えられた手。 あいた手で晃佑の体にふれて、その服を掴む。 もっとぴったり寄り添いたい。 何ヶ月でも何年でも私は晃佑の隣にいたい。 唇が離れるから、ゆっくりと目を開けると、すぐ近くに見える晃佑の顔。 その頬に手をあてて、もっとって私からキスをしていく。 「…したくなる」 「しよ?」 晃佑の胸に腰に手を滑らせるように撫でて、少し体を寄せると、晃佑は私の体をそこに倒す。 「逃げたら縛る。……って、いつもいつも、さてそろそろってところで逃げるくせに、なんで誘うんだよっ?」 そう。私は相変わらず晃佑に普通のえっちをしてもらったことがない。 怒られている気がする。 「…だって…いっぱい乱れて恥ずかしい…」 真っ赤になってしまいながら私が逃げてしまう理由を正直に言うと、晃佑は笑った。 うれしそうに笑いやがる。 ……やっぱり好き。 「逃げるから中に入れてやらない」 うっ…。 それは…それで物足りないかも…。 そんなの言えない。 犯されるのも…晃佑限定で好きかもしれない…。 そんなの言えない。 「…欲しい?」 「……欲しがられるのが好きかも」 逃げるなとか、ダメとか、止まらないとか。 すごく好きかも。 「俺を欲しがって?」 晃佑がそんなふうに言うから。 私は私の求めるままに、晃佑の全身にキスをした。 あなたのすべてが欲しい。 その過去も全部。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加