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ないよねと同意をしてしまいそうだ。
でも、それって…なんだか物足りないようにも思う。
確かにいつも同じ気持ちでいたいと望むのだけど。
寂しく思うのもまた恋愛なのかもしれない。
「晃佑にフラれたら拾ってもらう」
『…トモちゃんが下手なことしない限りは、あいつが振ることはないって』
「下手なことってなに?」
『つきあうのをやめると匂わせたり、飽きたりってところかな?』
「……なに?その優しい人。自分の心変わりはないの?」
『俺が知る限りは彼女がいれば彼女だけ。セフレなんてつくらないし、彼女の意思になるべく沿う。よって、ミクにコウが連絡をとったのはトモちゃんが何かをしたと俺はみた』
言われて、私はこの喧嘩の原因になった、耳のピアスにふれる。
「……晃佑が公園に捨てたミクの置き土産拾ってきて、アクセサリーケースに戻しておいた」
私は白状するようにそれを口にした。
『おまえ、馬鹿?』
思いきりぐっさりきた。
馬鹿かもしれない。
『ミクに戻れって言った?』
「言ってない」
『言っていなくても、その行動だけでじゅうぶんか。……もう別れれば?トモちゃんの背中を押す気にもならなくなる』
呆れられた。
当然のように思って凹む。
『コウとつきあっていたいの?いたくないの?』
「……わからない」
私は泣きそうになりながら答えた。
2つの気持ちが私の中に常にある。
楽しいときはずっとここにいたいと思うけど、一人になるとこれでいいのか迷ってる。
わからない。
私は優柔不断だと思う。
『……本気、馬鹿だよな、トモちゃん』
凹む…。
「もう言わないでください。きっと私に恋愛なんて高度なんです」
『高度な恋愛なんてしなくていいだろ。…ただもう少し気持ちのままに独占してやればいい』
「……恋愛の先生みたい」
『こんなナリだけど教職目指してる。トモちゃんは出来の悪すぎる教え子だな』
加藤くんが教師?
……軽く口説いて教え子ハマらせてそう。
しかも何人も。
こんな先生いやだと思う。
「先生、教え子はハマらせないようにしてください」
『俺、今、女に飢えてるからトモちゃん食べちゃおうか?』
「晃佑にフラれてもお願いしないと思う」
『かた…っ。拾ってって言ったくせに』
「嘘」
『……塩揉みすれば柔らかくなる?』
「なんの下ごしらえ?」
『おいしく食べるための下ごしらえ』
絶対いや。
晃佑にしか食べられたくない。
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