Some time

9/13
前へ
/606ページ
次へ
気持ちはただひたすらに晃佑だけにしかない。 相性いいんだろうなぁと思う加藤くんに何言われても、どきどきはすれど、こっちがいいなんて思ったりはしない。 だって晃佑が一番かっこいい。 かっこよくて、かわいくて、私を泣かせるのも笑わせるのも晃佑だけ。 いちゃいちゃしているときが幸せかもしれない。 キス、ずっとずっとしていたいくらい。 ……思いきりハマってる。 そんな自分に落ち込む。 もう少しだけ余裕を持ちたいのだけど、たった一日帰りが遅いだけで寂しがってしまっている。 私が…悪いのかもしれないけど。 公園に捨てられたピアスは、けっこう探した。 ここのベンチだったっていう記憶はあっても、どこに転がったのかわからなくて。 誰かに拾われたのかもしれないと思いながらも、学校が終わってからの数時間、ひたすら探していた。 晃佑があの話をしてくれたとき、ミクにフラれた晃佑の痛みを感じて。 本当に馬鹿みたいだけど、どうしても見つけたかった。 それは本当に晃佑のミクへの未練なのかもしれないけど。 どうしても…捨てられてしまうのは気になってしまって。 もしも晃佑がまだミクを好きなら…とか、思ってる。 離れたくないくせに馬鹿だと自分のことを思う。 思うけど…。 もしもミクが晃佑と本当に戻りたがっていたら…。 晃佑がミクを許せたのなら…。 私は…。 こうすることで晃佑に私の気持ちを幻想だと言われるのも仕方ないと思う。 ただの友達と言われてしまうかもしれないと思う。 思っても…、どうしても私がそのピアスを拾いたかった。 本当に馬鹿だと思う。 「ただーいま」 夜遅くになって晃佑は帰ってきた。 私はお帰りの言葉も言えず、玄関のほうを物陰に隠れて見る。 「なんか食べた?」 朝は無視していたのに普通に聞いてくれる。 私は頭を横に振る。 なにも食べていない。 「俺がいなくても食べておけよ。何か買いにいく?」 「晃佑は?食べてきたの?」 「食べてきた。明日休みだから、ちょっと飲んできた」 飲んだから無視していたこと忘れてる? …誰と飲んできたのか気になるところだけど。 晃佑の知り合いは多すぎて言われてもわからないかもしれない。 連絡してから…とか思って、朝には無視していたとまた思う。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加