Some time

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晃佑は私の体を絶対に離さないっていうくらいに抱きしめていて。 私は泣いてしまうのを必死に止めて、晃佑が泣き止んでくれるまで、その頭を撫でた。 私は晃佑を傷つけすぎだ。 古傷をえぐりすぎ。 ベッドの上で晃佑に膝枕をした。 晃佑は私に甘えるように腰に腕を回したまま、そのうち眠って。 私は晃佑の頭を撫でながら、ぼんやりと眠れない夜を過ごす。 わかっていた。 きっと、最初から。 それでもそばにいたいと望んだのは私だと思う。 気に入ってはくれている。 ここにいてくれている。 私を必要としてくれている。 私だけの彼氏でいてくれている。 だけど…。 戻りたいなんて言わなければよかった。 あの時、やっぱり戻らなければよかった。 そうすれば晃佑は何も問題なく、ミクと戻れた。 優しすぎる。 私は泣いてしまって。 涙は私の膝で眠る晃佑の上にぽたぽたと落ちる。 泣いても泣いても、止められない気持ちが一つだけ確かに私の中にある。 大好き。 誰よりも何よりも一番好き。 いろいろ思って、いろいろ考えて。 何が正しいのか、答えなんて一つも出ない。 どうすればいいのか、どうしたかったのか。 ……ここにいたい。 愛されたい。 それが一番望みたいことだけど。 泣かないで。 あなたの笑顔が一番好き。 あなたが笑ってくれるのなら…。 私が泣いてもかまわない。 朝の光が窓から差し込む。 私はぼんやりと一睡もせずに、晃佑の髪に指をとおして撫でる。 「ん…」 晃佑は声をあげたかと思うと、その目をゆっくりと開けて私を見る。 「おはよ」 「……変な夢みた気がする」 晃佑は目を擦って、喧嘩のことも忘れたかのように私の腰に抱きついて甘える。 胸の中、痛む。 私は大好き。 あなた以外はいらない。 私は何年でもあなたのそばにいたい。 「どんな夢?」 「……秘密。…俺、どうやって帰ってきた?確か仕事で遅くなって…、そのまま隆太に飲みに連れていかれて…」 「加藤くんといたんだ?」 「隆太だけじゃないけど。飲まされまくって……。……また記憶ない」 「酔っ払い晃佑とえっちしてないよ?」 「着替えてもないし、よくわかる。……風呂、一緒に入る?」 晃佑は顔をあげて私を見て、私が笑顔を見せて頷くと、晃佑は笑ってくれた。
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