Sweet lies

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晃佑のお迎えに行き先変更。 休前日のたびに飲むのはやめてもらいたいかもしれない。 …私といるときは飲むのやめるって言ったくせに。 一緒に飲むのをやめるって意味だったのか? なんて思いながら、加藤くんと晃佑のいる店にたどり着いた。 プールバー。 店内に入ると、甲高い音が響く。 ビリヤードの玉を突く音。 煙草と酒のにおい。 店内を軽く見回すと、ビリヤードをしている晃佑が見えた。 一見して酔っているように見えないのだけど。 私はそのテーブルへと向かって、いい加減飽きたといった顔をしながら、煙草を吸っていた加藤くんの前に立つ。 「久しぶり」 「久しぶり」 加藤くんは手をあげて挨拶をして、その手で晃佑の後ろ姿を指差す。 晃佑は無言でひたすら玉を突いていた。 うまい…のだろう。 玉は次々とポケットに入り、台の下を転がる音が響く。 9つのボールすべてを落としたと思ったら、玉を台の上に持ち上げて、また一人ビリヤードを始める。 「加藤くんの順番、回ってきそうにないね」 「妙に集中力あるんだよな、あいつ。集中すると、まわりが見えなくなる。トモちゃんきたことも気がついてないし」 「加藤くんと晃佑って仲悪そうなのに仲いいよね」 「仲悪いよ?よく蹴りあってる」 「私も蹴ってみよう」 ふと思い立って、まったく私に気がつかない晃佑の近くに歩いていって。 キューを振ろうとしていたその体、お尻を蹴ってみた。 晃佑は集中を途切れさせられたと言いたそうに、不機嫌に私を振り返り、その目に私を映すとうれしそうな笑顔を見せてくれる。 私も笑顔を返す。 蹴ったけど。 酔っ払い晃佑は深く気にしないでいてくれる。 「知花もやるか?ビリヤード」 「やったことない」 「教える」 晃佑は私の体にべったりくっつくようにして、私にキューを持たせて。 私の体をビリヤード台に倒す。 …倒しすぎ。 しかもなんか上に乗られてる気がする。 晃佑の体重がかかってる。 「潰れる…」 「潰そうか」 晃佑は私のキューを握る手に手を添えて、腰をぴったり寄せてくれちゃって。 さすがに恥ずかしい。 「知花、スカート短すぎ。構えたらパンツ見える」 晃佑の片手は私の手から腕、腕から体の上を滑って、私の素足の太ももに。 犯されそう…。
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