Sweet lies

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「……高校の頃、俺、千香とつきあっていて。こいつが千香見てるから気に入らなくて。その視線をよくたどってみたら、トモちゃんがいて」 「……なにそれ?」 「声かければいいのにってからかったら、はぐらかされた記憶。ミクも黒髪で髪長いし、そういうの好きなのかな」 私はオレンジジュースに口をつけて、どっちが先なんだろう?と思ってみた。 私だったらいいのにって思いながらも、どこか諦めたものがある。 「だから…トモちゃんとコウがつきあっていたのは意外だけど納得だった」 「納得要素がわかりません。先生」 「コウはトモちゃんのこと見ていたよ。ま、高校の頃も彼女いたし、彼女きれたことなかったし、憧れみたいに見ていたんじゃないかと予測」 加藤くんはまた冷蔵庫を開けて、ウーロン茶を取り出すとペットボトルに口をつけてそのまま飲む。 「憧れ要素は私には皆無です」 「それは自己採点だろ。他人の目線や捉え方は自分の思うものと違うことはよくあること。俺の予測があっているかあっていないかも、本人が答えない限りはわからない」 そうだねとまた納得してしまう私がいる。 たぶんきっと、加藤くんの答え方が確定じゃないから納得できるのだろう。 「もっと反発してみたいけど言うことなくなっちゃった」 「トモちゃんは俺に言いくるめられるタイプと予測。俺のいうこと、なんでもきいてくれそう」 「……きかないかも」 「俺の考え方を個人的な視線ではなく、一般論でちゃんと言えばきいてくれる」 ききそうだ。 なんだか私にとってこわい人に思えてきた。 操られそうだ。 「…軽いのに真面目っぽいね」 「一言余計だ。…それで?どうしたいの?俺に奪われたいって言ったその心境をじっくり聞いてみようか」 覚えていやがる。 「…そんなこと言った?」 「言ってコウに首絞められただろ。こいつのそんな独占欲、初めて見せてもらった。いつもは去る者追わず。女が俺にいい顔しようがお構い無し」 「加藤くんを認めてるからだよ」 「話を逸らすの好き?」 バレている。 話を逸らそうとしたこと。 「加藤くんは?」 「答えたがらないことほど吐かせたくなる。羞恥プレイ好きなのかも」 それはプレイじゃなくて虐めだ。 男なら黙っていろと言いたい。 あ。やっと反発した。私。
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