青山荘のひとびと

7/11
18829人が本棚に入れています
本棚に追加
/550ページ
  あたしが追いかけてたのは、津田美春(つだ みはる)。 1つ上の24歳。160cm。体重は教えてくれない。 ミハルを一言で表すと、胸と態度がでかい女、だ。 男の前では可愛い女で通ってるんだろーけど、家では毒ばっかり吐いてる。 ほんのりブラウンに染めたながーい髪をくるくる巻いて、いつもキレイにお化粧してる。 『だって、商売道具だもの』と笑うミハルの仕事は、美容師だ。 あたしやキクちゃんの髪を切ってくれてるのもミハル。 コウタは『別のとこ通ってるからいい』んだってさ。 どーでもいい彼氏と付き合って別れてを繰り返して、最新版どーでもいい彼氏とは3日前に別れてた。 今度の理由は何? って聞いたら、『だってアイツ、食べ方汚いんだもん』だって。 あたしが笑ったミハルの別れた理由ベスト3。 『滑舌が悪くて、ら行が言えない』 『どっか行くたびに除菌を促す潔癖野郎』 『いきなり赤ちゃんプレイを要求してくる変態』 ミハルの恋愛遍歴っつーかどーでもいい彼氏履歴はかなり笑えるから、いい酒の肴になる。 男といるときは全然飲めないフリして、あたしたちといるときはガバガバ飲む。 でも、あたしはそーいうミハルの表裏、嫌いじゃない。 だって愉快だもん。 ミハルの行動や言葉は、はっきりしててすかっとする。 .
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!