青山荘のひとびと

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  「あたしの牛乳ー!」 「だーから、謝ってるじゃなーい」 「心がこもってないっ!」 あたしの追撃をひらりとかわすミハルに、イライラは募るばかり。 終わりの見えない追いかけっこに、キクちゃんの怒鳴り声が響く。 「こらァッ! バタバタ走るんじゃないわよ、響くでしょうが!」 男! って感じの低ーい声。 こんなときだけ男に戻るなんてずるい。 その声で起きたのか、奥の方から頭をかきながら、長身の男がリビングへと歩いてくる。 「あーもう、うるせーなあ…」 「あら、コウタ? こんな時間に珍しいわね」 「まったく…こっちは朝帰りだっつーのに。…またミハルとコトか」 「ま、コトが一方的に吠えてるだけだけどね」 「いつも通りだろ」 「それもそうね」 溜息を吐いたふたりが、あたしとミハルを呆れたように見つめてる。 いつもの、朝の光景だ。 .
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