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「……イチ……」
掴めたから、かな。
もっとあたしのものにしたいって、思っちゃったから、かな。
躊躇いながらも、あたしは影に腕を回していた。
ぎゅうっと、力を込めてイチの体にしがみつく。
「……」
こんなことしても、何も言わないイチに、それでも伝えたいことがあった。
全身でそのぬくもりを感じながら、あたしは叫ぶ。
「あたしは……っ、イチが……イチのことが……好き、だよ……!」
光を失ってから、ずっと。
ひとりぼっちだと思い込んでいたあたしに。
言葉をくれた。
ぬくもりをくれた。
大切にしたい、かけがえのない、気持ちを教えてくれた。
イチ。
あたしは、あんたのことが、大好きだ。
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