コトリとイチの未来と光

12/30
前へ
/550ページ
次へ
  「……イチ……」 掴めたから、かな。 もっとあたしのものにしたいって、思っちゃったから、かな。 躊躇いながらも、あたしは影に腕を回していた。 ぎゅうっと、力を込めてイチの体にしがみつく。 「……」 こんなことしても、何も言わないイチに、それでも伝えたいことがあった。 全身でそのぬくもりを感じながら、あたしは叫ぶ。 「あたしは……っ、イチが……イチのことが……好き、だよ……!」 光を失ってから、ずっと。 ひとりぼっちだと思い込んでいたあたしに。 言葉をくれた。 ぬくもりをくれた。 大切にしたい、かけがえのない、気持ちを教えてくれた。 イチ。 あたしは、あんたのことが、大好きだ。 .
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18834人が本棚に入れています
本棚に追加