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「きみが望むなら、僕はヒカリさんの代わりにだって何だってなる。だから……僕の傍にいてよ」
まるで小さな光の欠片を、もらっているみたいだ。
「患者としてじゃない。こんなのカウンセラー失格だってわかってる。それでも……」
そこまで言ったイチが、あたしを抱く腕を緩めた。
ふいに軽くなった抱擁の後、顔を上げるとイチと目が合う。
くしゃくしゃになった顔で、瞳を潤ませたイチが、あたしの頬を両手で覆う。
大事そうに触れられる喜びを感じる間もなく、イチはあたしをまっすぐ見つめて、言った。
「……好きなんだ。……僕が、きみじゃなきゃ、ダメなんだ……」
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