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「……ヒカリの、代わりなんていらない」
呟くと、びくり、イチの体が震えた。
それでも怯まず、あたしは続ける。
「ヒカリは、ヒカリだもん。誰にも代われない。イチだって、わかってるだろ? 誰もヒカリの代わりなんてできやしないんだ」
あたしが求めたのは、ヒカリの代わりじゃない。
ヒカリになろうとしたイチじゃない。
あたしは頬を包み込んでくれているイチの手に、自分の手を重ねた。
そして、ぎゅっと握って彼を見つめる。
言葉以外にも、伝えられることがあるって、信じたのは初めてだ。
あたしが、こんなにも求めているのは。
「あたしは、あんたが、……イチが、いい。イチじゃなきゃ、やだ」
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