コトリとイチの未来と光

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  頬を伝う涙が、イチの指を濡らす。 指先からも、伝わる気持ちがあるって、初めて知った。 「……本気に、するよ?」 躊躇いがちに言われた言葉に、思わず苦笑してしまう。 「……してよ。本気なんだから」 「……はは」 あたしの返事に浅く笑ったイチが、確かめるようにもう一度、頬を撫でた。 その感触が懐かしくて、気持ちよくて、あたしは目を閉じる。 触れられているところから繋がってく、みたい。 しばらくの間、触れ合う温度に幸せを感じていた。 するとふいに、イチの指が、あたしの唇に触れた。 .
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