VS 牛骨魔王

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「……俺のターン!」 半ばなげやりにターンを進める灰。 デッキが1枚、弾け飛ぶ。トラッシュに落ちたのは魔銃ヴェスパーだ。 「ブレイヴか」 「……ブレイヴだな。メインステップだ」 深呼吸のあと、大きく息を吸う。 「……仲間とともに悪の覇道を進む王! 牛骨魔王を召喚だ!」 決め台詞を言ったときにはもう先ほどまでの諦めたような雰囲気はなく、瞳からは有り余る闘志が溢れているようだった。 「……そいつ、滅してやるよ」 ニヒルな笑みを浮かべて言い放つ灰。瞳の闘志はギラギラと煌めきを放っている。 「魔銃ヴェスパー召喚、そのまま牛骨魔王に合体! 不足コストはワーウルフとプラズバットのLvを1にして確保だ! ……アタックステップ!」 「氷の覇王ミブロック・バラガンの相手のアタックステップ時効果発動。ステップ開始時、巨人猟兵オライオンを手札に戻すことで、プラズバットとワーウルフ・コマンドを手札に送る」 スピリットが2体減ったのにもかかわらず、灰は顔色ひとつ変えない。 だがそれは葵も同じだ。まだニヤニヤと笑っている。 「牛骨魔王、行けぇ! 牛骨魔王のアタック時効果発動! 自分の、系統:雄将・覇王を持つスピリット1体につき、相手のスピリットのコアを1個外す!」 ミブロック・バラガンのLvが下がった。それでも葵は表情を変えない。 「さらに魔銃ヴェスパーの合体アタック時効果、このスピリットのシンボル1つにつき、相手のスピリットのコアを1つ外す! 合体スピリットのシンボルは2つなので、ミブロック・バラガンのコアを2つ貰ってくぜ!」 Lvが0になったため、ミブロック・バラガンが消滅する。 ここにきてようやく、葵は表情を変える。 貫くような眼光に、馬鹿にしたような卑屈な笑み……勝者の顔に。 「マジック、秘剣燕返を使用。ライフで受けるよ」 灰の瞳が驚愕に染まる。 アタックできるスピリットがいなくなり、ターンは終了した。
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