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「お礼がしたいんだが……、こんな状況じゃあなぁ」
機長が申し訳なさそうな顔を青年に向けた。
「いやいやいや、別にそんなこと、いいですよ」
「しかし、私の気が収まらないんだよ。 是非とも何かお礼をさせてくれ」
一向に引き下がらない機長に対して、青年は少し困ってから、何かを思い付いたのか笑みを浮かべた。
「あー……、じゃあ、出来るだけ早く日本行きの航空券が欲しいです……」
青年の言葉に機長は一瞬呆けてから、顔に笑みを浮かべた。
「……何かすぐに逢わなきゃいけない人でもいるのかね?」
「あー、そうですね。 心配掛けたくないんですよ」
「よし、わかった。 話して来てはみるが、あまり期待はしないでくれよ」
そう告げて、機長は青年に背を向けてどこかに歩いていった。
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