プロローグ1 夜、英雄

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飛行行程の3分の2をなんのトラブルも無く平和に過ぎ、機長も添乗員も、そして乗客も長旅による疲れと、あと3分の1で終わるという安心から、仮眠を取るなどの休養をしていた。 「順調ですね、機長」 「そうだな、なんのトラブルも無い。 だが、最後まで気を抜いてはいかんぞ」 機長は目の前の雲一つ無い夜空を見ながら話し掛けてきた副機長に笑いながら注意を促した。 「でも、流石にここまで順調な飛行だと、疲れるというか、飽きるというか……」 副機長が欠伸を漏らしながら機長へと顔を向けた。 「ハハハ、確かにとてもつまらないな」 機長は笑いながら冗談混じりに副機長に同意した。 「あ、でも、安心して下さい」 「ん、何がだ?」 機長が副機長の言葉に顔を向けた。 副機長の顔には先ほどまでのつまらなそうな顔ではなく、楽しそうな笑顔が浮かんでいた。 「こんなつまらない飛行はそろそろ終わりですから」
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