朝がくるまでに

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深夜0時、ケータイにメールの受信ランプが灯る。 『ドライブ行こう』 『いいよ』 そう返信すると、間髪を入れずにケータイが光った。 『15分後に着くよ』 時計を確認して、軽くメイクをする。 長いドライブ中、足を崩してもいいようにデニムをはいて。 トップスは甘さを残したくて、ふわっとしたピンクのチュニック。 ヘッドレストにもたれることもあるから、髪は束ねずにそのままで。 結局、近所へのお出かけ程度の格好になってしまった自分を鏡に映して笑ってしまう。 気取っても今更だということは、よくわかっているのに。 バッグに、ハンカチ、ティッシュ、財布、簡単なメイクポーチ、念のために免許証まで入れたところで、またケータイが光った。 『下にいるよ』 電気を消して、鍵を閉めて、しんと静まった深夜のマンションの廊下を歩く。 エレベーターを降りると、エントランスのガラス扉の向こうに濃紺の車が見えた。 見慣れた、そして乗り慣れた彼の車。 ドアにもたれて煙草をふかす姿に、胸がしめつけられる気がする。 冬の始まりを感じさせる、しんと冷えた空気と一緒に煙草の匂いがした。 「お待たせ」 無理矢理に笑顔を作って声をかけると、「おー、久しぶり」と片手をあげて彼も笑顔を見せる。
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