謎の少年

6/19
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
一番道路を抜けたその先で、チェレンは腕を組んで二人が来るのを待っていた。 彼の横に立つ看板には、『この先カラクサタウン』と書かれている。 「チェレーーン!!お待たせーーっ!!!」 しばらくして、ベルが手を振りながら集合場所へ走って来るのが見えた。しかし、彼女は落ちていた石に躓き盛大な音を立てて、チェレンの目の前で思いきり倒れ込んだ。 いつもの光景にため息をつき、チェレンは地面でうつ伏せに倒れるベルに手を差し出す。 「....いったーい!あ、チェレン!どうだった!?」 「ミジュマルのレベルも上がったし、新しいポケモンもちゃんとゲットできた。まあ、たまにはベルの提案に賛成してみて正解だったね。」 チェレンの手を借りて立ち上がり、ベルは洋服についた土埃を両手で払う。 「むー!また一言多いよ、チェレンっ!」 二人が定番のやりとりをしていると、遠くの方からポカブを抱えたナミが物凄いスピードでこちらへ走って来た。 「そんなに急いでどうしたんだい?ナミ。」 「.....はあ、はあ。だ、大丈夫。なんでもないよ........」 なんとかミネズミから逃げ切り、息を切らして肩で息をするナミの様子に、流石のチェレンも驚いていた。 「大丈夫なの?ナミ。」 「う、うん!ほんとに大丈夫。二人とも、待たせちゃってごめんね?」 心配して顔を覗き込むベルに苦笑いで答え、ナミは息を整える。 「そ、それよりもベルとチェレンはポケモン捕まえた!?」 ミネズミしか遭遇できず、最終的には泣きながら必死で逃げてきたことを言えば、二人に笑われそうな気がして、ナミは強引に話題を変えた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!