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俺は男。そしてたぶんこのウサギも雄。なにを意味しての言葉かくらいは容易く理解できた。
「おまえも人間に欲情するのか?」
「いいや、私はあの白ウサギのほうさ。人間は君にあげるよ」
――ここは夢の世界。なにをしてもいい。なんでもできる。
俺も、ウサギと同じ様(さま)だったのだろうか?
――――キモチ、イイ。
荒くなった息を整える。眼下では女が泣いていた。
「やあやあ、なかなかに獣的だったね」
いつの間にか俺の行為を眺めていたウサギが皮肉を放ってくる。
「本物の獣に言われたくない」
「ははっ」
「おまえのほうも終わったのか?」
「ああ、楽しかったよ。詳しく聞きたいかい?」
「遠慮しとく。それより次はなにをする?」
「おっ! なんだ、もうすっかり乗り気じゃないか」
「茶化すなよ。べつにどう振る舞ってもいいだろ。ここは俺の夢なんだから」
「そうだね。現実も夢も、認識一つでどちらにでもなるからね」
「…………えっ?」
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