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質問してしばらく。答えを返せない僕に、ウサギは僅かに口角を吊り上げてゆっくりと言葉を落とす。
「一つだけ、答えを知る方法があるよ」
「っ……教えろ!!」
やれやれ。呆れたようにため息一つ。
投げ渡されたのは小さなナイフ。
「それで自分の喉元を掻き切ればいい。もしここが〝夢〟ならば、君はそれから覚めて〝現実〟に戻れることだろう」
「あ……あ……っ!」
震える手でナイフを喉元に宛がう。頭を、胸を締め付け駆け巡るのは圧倒的罪悪。
俺は……俺は…………!
「――いい夢を見られるといいですね」
ウサギが口を開いたとき――――男は既に〝その世界〟から亡くなっていた。
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