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暗闇の中、突如スポットライトが差した。同時におどけた男の声が響く。「さぁAKUMAを作りまショー❤」光の中心にいるのはシルクハットをかぶった奇妙な男だ。
年齢は不明。体をすっぽり包んでいるコートの上からでも男の腹がでっぷりとつきだしているのが分かる。目は丸眼鏡に隠れていて見えない
子供をまる飲みできそうなくらい大きい口は両端がつりあがり、笑っているようにも見える。
それだけなら、まだ普通の人間に見えたかもしれない。だがエルフのようにとんがった長く大きな耳が、彼が普通の人間からかけ離れた存在だと教えてくれる。
―彼は『千年伯爵』だ。僕は彼を知っている。
千年伯爵はその大柄な体に合わない、小首をかしげるという可愛らしいポーズを取った。
「まず、材料に我輩が造った『アクマの骨組み』と人間を二名用意しまショー❤」
千年伯爵は楽しげに、骸骨の模型を取り出した。それは明らかに本物の人骨ではなく、人工的な何かで造られていた。
―アクマの骨組み。魂を取り込み、復活させる魔導式ボディだ。
いけない。それを使ってはダメなんだ。
「人間は、死人Aが一人生者Bが一人。この二名はとっても深い絆で結ばれていて、Aさんが悲劇的な死を遂げるのが理想ですネ❤」
ゆるゆると粘土で造ったような簡略化された人型が二つ起き上がった。
アランは「マナ‼」と叫んだ瞬間起き上がった。「ゆ、夢か…。」回りを見回すと緑の多い草原と一軒の家と花を育てる大きい人がいる。
「もう一回寝ようか」呟きまた横になる
もう一方は………。
「さて。材料が揃ったら、まずはアクマの骨組みの内に死んだAさんの魂を呼び戻しまス❤これには絆で結ばれたBさんの『呼び声』が必要でス❤」BがAの名を呼んだ。天から炎のようなものが降りてくる。どうやらあれがAの魂らしい。
アクマの骨組みにAの魂が入った。
―イヤな……何かイヤな事を思い出すような気分になるのはなぜだ?
千年伯爵は満足げにうなずいた。
「そしてうまく魂を呼び戻せたら、Bさんをサクッと殺しちゃいましょウ❤」
Aの魂が入ったアクマの骨組みが、千年伯爵の声に従ってBにナイフで切りつけた。「ギャッ」という悲鳴とともに、Bが倒れる。
「さぁ、最後の仕上ゲ❤AさんがBさんの死体に入っテ……❤」
アクマの骨組みがBの口に無理矢理足をこじいれた。グチャ、ゴキィという、耳をふさぎたくなるような音が響く。
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