きっとあの匂い

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「いただきます、でしょ?しっかりしなさい」 最近ではそんな母も、うるさいだけだった。もう沙耶も中学生だ。腐りたくなる時期である。 「はいはい‥いただきます!」 「ははは、もう沙耶も14だもんなぁ、適当になりたいよな?」 「ちょっとあなた!?沙耶には私の後を継いでもらいます、しっかりしないと会社経営なんてできませんよ!」 またか。沙耶はその言葉を、今まで何回聞いたことか。 母は大手化粧品会社の社長で、沙耶を跡継ぎにすると、頑として聞かなかった。 「いい加減にしてよ!!私は美容師になるの!もう決めたんだから!」 そう言って、沙耶は家を飛び出した。
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