再会

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再会

某市某公共ホール 若者達がスーツやら着物に袖を通し、ホールの前で昔の友人達と話に花を咲かせる。 信二もまた、スーツに身を包み、中学校以来の友人と話をしていた。 その時、後ろから声を掛けられ、振り返ると少し疲れ気味の表情をした、スーツ姿の黒髪ショートカットの女性だった。 久しぶり。 女性が話掛けてくる。 だが、信二は女性が誰なのか分からなかった。 必死に思い出そうとしていた時、隣の友人が、 夏美じゃん、久しぶり。 と発言したのを聞いて、一気に脳内に目の前の、夏美の事が思い出される。 彼女とは、中学の時の三年間クラスメイトで、よく話をしたり、昼飯を一緒に食べたりしていた仲だった。 五年間という歳月は忘れるには充分すぎるという事か。 そんな事を考えていると、夏美は、 覚えてないかな? と苦笑した。 信二はズキリと胸を痛めた。 素直に、ごめんと謝ると、夏美は気にしないでと言ってくれた。 ホールが開放され、皆中学校別に席の案内を受け、中へと入る。 中では恩師が先に中に入っていて、皆恩師と楽しそうに話をしたりする。 信二は静かに席に着き、開会を待つ。 ふと、隣良い?と聞かれ、横を見上げると夏美だった。 信二が黙って頷くと、夏美は隣に座り、仕切りに此方をちらちら見てくる。 つい先程の事もあり、信二がいたたまれずに何?と聞くと、夏美は特には何も、と言う。 成人式は滞りなく終わり、ホールの入り口では記念撮影された写真の購入手続きの受付前に皆が溢れかえる。 信二は特に要らないと考え、ホールを後にしようとした。 信二君、と夏美に呼び止められた。 何?と信二が聞くと、この後暇?ときかれた。 特に用事が無かった信二は特には何も無いと言うと、夏美は少しお話したいんだけど、良いかな?と聞いてきた。 信二は黙って頷く。
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