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拓真は相葉と同じく三年生で、相葉の親友。
赤みのある茶髪と耳に光るピアスがちょっと不良に見えるけど、実はとても良い人だ。人懐こい笑顔で意外と真面目な性格。そして、ある意味苦労人。
相葉への恋心に敗れた女の子達が救いと安定を求めてすがるのが拓真の存在。それは拓真も重々に承知しており自分はその役目なんだと割り切っている。
そんな拓真は相葉の手の届かない時に代役を果たす事もしばしば。司や仁美も世話になっている。そんな相葉と拓真の関係は昔からの事で、そしてこれからも変わらないのだろう。
そんな拓真は今まさに窮地に陥っていた。
「司、助けにいく?お世話になったし」
仁美が数人の女子に囲まれる拓真を見ながら言った。司はそれを無言で首を振って拒否した。
「うん、でも無理だよ」
「どして?......あ。うん、無理だね」
司に訪ねた美世が見たものは、校舎から駆け出してくる女子の大群だった。一目散に拓真を目指している。
「多分、先輩が見つからなかったんだろうね」
あっという間に拓真の姿は女子の群れの中に消えた。どうにも出来ないと判断した三人は仕方なくその場を後にし、学校を出た。
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